古武術研究家 甲野さんの術を研究しています。稽古会開催中。
2017年10月19日 (木) | 編集 |


「勝ち組」「負け組」という言葉。人の一生を例えるような感じで、あまり好きではない。

とは言え、武道やスポーツも、「勝ち組」を目指す行為であることには間違えない。

勝つ事への憧れを投影するかのように、メダルや記録の更新と実に熱狂的だ。もっと、楽しんで練習したいと思うのだが…。

甲野さんの武術も、同じように見えるが、実は勝つことにこだわっていないと思う。

高齢で、弱小でも、身体の動かし方を工夫すれば、思わぬ力が出る。そんな驚きの術を覚え、使えるようになるのが楽しい。

例えば、組んだ相手の両腕を、片腕だけで斬り落とす技。何とか崩してやろうとするのだが、相手は力一杯両手で返して歯が立たない。

お互いが負けたくないので、頑張るのだが、普通は両腕の方が力が勝る。

ここで、勝敗にこだわらず、全く関係ないことを意識する。この場合、過去に驚いた経験をちょっと再現してみると、急に視界が開けたような感覚になる。すると、相手は崩れる。

矛盾だらけの動きだが、驚きが突破口になってくれる。

昔は、「死んだ魚が急に生き返る」「触ったヤカンがめちゃくちゃ暑かった」とか、驚いた体験をいろいろ探して試した。今は、ジェットコースターで滑空する恐怖体験が一番よく効く。

が、ただ思い出すだけではダメで、いかにリアルに再現するか?現在の自分に影響を与えているのか?など、いろいろとコツがある。





2017年10月18日 (水) | 編集 |

呼吸は、知らず知らずに自分の存在をアピールしている。腹、胸、口などその微妙な動きを、相手は感覚的に捉えている。

だから、呼吸が止まるや否や、攻撃が予測されてしまう。

察知されないためには、呼吸は止めないことを前提に、様々な呼吸法を試してみた。

1 継ぎ目呼吸
吸うと吐くが入れ替わる時の、僅かに同時進行しているような状態で動く。
合気の呼吸力の原動力に使っている。合気に向くのは、動きがソフトでゆっくりしているから。

2 振動呼吸
身体の内観を高速微振動させながら、吸うと吐くを交互に行う。身体の微振動に連動するから、吸うと吐くがかなり早く、拮抗するかのよう。
動きも早く、内観上の微振動で、強い相手でも粘ることが可能。

3 並列呼吸
左から吸って、右に吐く。そんな循環させるような呼吸。上手く呼吸できているかは微妙で、半分止まっているような感じもあるから、一番俊敏で力も強い。

以上、状況に応じて、それぞれを使い分ける。

今、最も初動の気配が出ないのは「無心」だが、作為的に動くためには、これらの呼吸法の方が便利。






2017年10月17日 (火) | 編集 |

甲野さんの著書によく出てくる無住心剣術」。これは、一切の技法を捨て去り、剣を片手でただおろすだけと言う極意。難し過ぎるが故に、一度伝承が絶えたらしい。

このような達人技など、到底出来るわけがないが、無心で行うとはどういう意味なのか?ずっと不思議であったが、ちょっと気付くところがあったので試してみた。

「無想、無欲で行うべし」という境地を再現したいのだが、今考えられるのは、正直ベースの自分になる事。

よくよく考えると、自分の思考回路の90パーセント近くは、他人に影響を受けて、それに反応するかのように稼働している。本当の自分を探して見ると…、ありました。残り10パーセントの自分が頭の前の方に浮いていた。

面白いことに、これに浸ると、妙な静けさと安定した呼吸が得られる。他人に影響を受ける部分を後方に抜いて、前方にただ浮かぶ自分だけで振り下ろすと…。

不思議なことに、初動が消え真っ直ぐブレることなく振り落とされる。相手はかなり対応できない。今までで一番、相手に気付かれないから、自分の思い込みではない。多分、自己暗示。

こんな精神面だけの影響が、具体的な身体の動きに大きな影響を与えるとは、ホントに不思議。

この「夢うつつ」に近い気分は、ゾーンへの扉とも関係しているでしょう。いろいろな技に使えそうだ。







2017年10月16日 (月) | 編集 |

動物の擬態とは、ほかの生き物によく似た形に変えること。人の目から見ると、何かバレているのだが、鳥などの天敵から見ると、他の生き物として認識してしまう。

この擬態のような術がある。ただ、人の場合は、外見は変えられないので、内面の擬態で相手を欺く。

相手からは元の人物にしか見えないのだが、本人は全く違う人物に成り変わっている。

それは若い頃の俊敏な自分に戻ること。間髪を入れず、俊敏な動きが一瞬で蘇るから、素早い対応が可能となる。

さらに、過去に記憶した、例えば全力疾走した時を頭ん中で蘇らせ、もっと速く走れる今の術を教示する。過去の自分が理解出来ていれば、今の自分は当然速く走れるはず。

このような自己暗示は矛盾したものだが、一応の理屈を構築しておけば、今の脳を一瞬だますことが出来る。

テレビのドラマや映画の主人公になった気分に似ていて、見ているときは、その世界に簡単に入り込んでいる。

このような、矛盾を矛盾として捉えない夢ウツツのいっときを再現する。



2017年10月15日 (日) | 編集 |

新体操やフィギュアなど、動きの美しさで競う競技は、人でしか出せない動き。全てが計算され尽くした、いわゆる脳化が進んだ人工的な動き。

一方、動物がその動きから作り出す美しさとは、脳で綿密に練られたものではなく、自然な流れの中でアウトプットされた自然な動き。

いわゆる武術的な動きとは、後者の方を理想とする。

だから、脳が全て支配した動きではないので、きっと脳の中で不協和音が生じているでしょう。自然な動きとは、脳にとってはまさに迷惑この上ない。

以前、古武術の動きを、テコや力学で解説していた学者さんがテレビに出ていたが、無理もない。人の脳は、自然な動きを嫌うから、やむを得ない。

ではどうすれば自然な動きが導けるのか?

古の時代のような野生は、もはや復元不可能。だから、自らの脳をだますことで、脳の統括化より離脱する。

いわゆる自己暗示を使う。割に脳は、言葉の解説に弱いのだ。

例えば、腕や脚にそれぞれは独立してバラバラに動かすように命じさえすれば、納得するでしょう。